更新日:2024.05.16
無垢材が変色するのはなぜ?3つの原因と対処法を解説
無垢材の家具は、自然の木材ならではの木目や色、模様、質感などさまざまな良さがありますが、日々使い込むことで増す風合いも大きな魅力です。
色が濃くなったり薄くなったりと、経年変化による色の移り変わりで愛着が増していきます。
しかし無垢材は自然な色の変化以外にも、色が変化してしまう場合もあります。
例えば金属や酸性・アルカリ性物質による変色。
自然な変色ではないので、一部分だけ色が異なるなど、不自然な見た目になってしまいがちです。
「無垢材が変色するのはなぜ?」と疑問に思われている方に向けて、代表的な3つの原因を紹介します。
対処法も解説するので、うっかり変色させてしまった方は、ぜひ参考にしてみてください。
無垢材が変色する3つの原因
無垢材が変色する主な原因として、経年変化・風化・汚染の3つが挙げられます。
それぞれ原因が異なり、色の変化の仕方にも違いがあります。
詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
経年変化
木材に多く含まれるリグニンという成分が、紫外線を吸収・分解して性質が変化する過程で発生する変色です。
経年変化により自然に色が移り変わるのは、無垢材を使用した家具の醍醐味。
使い込むほどに変化する色は、深みと風合いを増していきます。
経年による色の変化は劣化ではなく、無垢材ならではの味だといえます。
木材によって経年変化の仕方は異なり、例えばチェリー材のように色味が濃くなっていくものもあれば、ウォールナット材のように明るくなっていくものもあり千差万別です。
無垢材の家具を選ぶ場合は、経年変化後の色合いも考慮すると、長年楽しみ続けられる一生モノの家具を購入できるでしょう。
風化
紫外線により分解されたリグニンが、雨により流され脱色されることで起きるのが風化による変色です。
これはウッドデッキなど屋外で使用される木材によく見られる現象で、風化の場合は樹種を問わずシルバーグレーになります。
またリグニンは木材の骨子となるセルロースを補強する成分でもあるので、木材自体が脆くなってしまい劣化していきます。
屋外での使用は劣化を早めるため、塗料やオイルの塗布など定期的なメンテナンスが欠かせません。
長く使用するためには、大切に管理する必要があります。
汚染
金属や酸性・アルカリ性の物質が木材に触れることで、化学反応による変色が発生します。
経年変化や風化などの自然な変色ではないため、一部分だけ変色するなど不自然な見た目になりやすいのが難点です。
例えば掃除道具としてよく使われる重曹。
アルカリ性の物質のため、木材に含まれるタンニンやリグニンを黒く変色させてしまいます。
しかし正しく対処すれば、ある程度補修することも可能です。
原因物質が無垢材に直接触れないよう注意して予防するのはもちろんですが、万が一汚染による変色が起きてしまった場合のために対処法を覚えておくことも大切です。
無垢材が変色する汚染の種類
無垢材が変色する汚染として、金属汚染・酸汚染・アルカリ汚染の3つが挙げられます。
いずれも身の回りにあるものばかりなので、うっかりミスで不自然に変色させてしまわないよう注意が必要です。
それぞれの汚染の種類について詳しく把握しておきましょう。
金属汚染
金属と無垢材が接触することで起こる汚染で、特に鉄による汚染が主な原因として知られます。
鉄汚染は鉄と木材に含まれるタンニンが反応することで起きるもので、水分により鉄またはタンニンが溶けだすことで発生しやすくなります。
そのため鉄・タンニンを多く含む木材・水分が合わさると、鉄による汚染の可能性がアップするため、濡れた鉄製品を近付けないよう注意しましょう。
ちなみに樹種によって、鉄による汚染を受けやすいかどうかは異なります。
- 受けやすい樹種:オーク、ウォールナット、ブラックチェリー、メープルなど
- 受けにくい樹種:チーク、タモ、スギ(辺材)など
釘や針金、ヘアピンのような小さな鉄製品でも汚染は発生するので、濡れた鉄製品を無垢材には近付けないのが鉄則です。
酸汚染
酸性の物質が無垢材に接触することで発生する汚染で、酸性の強弱によって汚染の程度が変化します。
例えばレモンやお酢のような弱酸性のものであれば、薄いシミが発生する程度ですが、トイレ用洗剤など強酸性のものだと、濃いシミが発生してしまいます。
酸汚染のメカニズムは解明されていませんが、メープルやヒノキ、スギなどは影響を受けやすく、オークやタモ、クリなどは影響を受けにくい木材です。
もし酸性の液体をこぼしてしまった場合は、すぐに拭き取りましょう。
少しでも汚染の程度を軽減できます。
アルカリ汚染
アルカリ性の物質が無垢材に接触することで発生する汚染で、アルカリ性の強弱によって汚染の程度が変化します。
濃い黒ジミができるので、汚染の中でも特に見た目の影響が大きくなっています。
例えば石鹸水や重曹など、掃除用具として活用されるものはアルカリ性なので、誤って使用してしまうと目立つ黒ジミが発生してしまうでしょう。
詳しいメカニズムは未解明ですが、オークやメープル、ウォールナットなどは影響を受けやすく、タモやヒノキは影響を受けにくくなっています。
無垢材の家具を掃除する際は、重曹などアルカリ性のものは使用せずに、乾いた雑巾か固く絞った雑巾で丹念に拭き上げるのがおすすめです。
汚染による無垢材の変色への対処法
金属や酸性物質・アルカリ性物質による汚染は、無垢材の見た目を大きく損ねてしまいます。
こうしたものを近付けないよう心掛けることが大切です。
もし変色してしまったときに備え、変色への対処法を覚えておきましょう。
汚染物質との接触から時間が経過するほど、反応が進んでしまうので、できるだけ早く対処が必要です。
※下記でご紹介する対処法は、表面の仕上げがオイル塗装や無塗装の場合にのみ有効です。
木の表面がウレタン塗装などでコーティングされている場合は、そもそも金属や酸性物質・アルカリ性物質などによる変色は起こりづらいです。
万が一起きてしまった場合は、ご自分でのケアは難しいので、販売店に一度問い合わせてみてください。
金属汚染の場合
鉄など金属による汚染の場合は、該当箇所を削り取ってしまうのが有効な方法です。
用意する物は無垢材の仕上げと同じ塗料・サンドペーパー・ウエスの3つです。
まず目の粗いサンドペーパーで、木目の方向に沿うように汚染部分を削ります。
汚染部分が削り取れたら、目の細かいサンドペーパーで表面を整えましょう。
次に木くずを払って、ウエスに塗料を付け再塗装。最後にウエスで乾拭きして、余分な塗料を取り除いたら完成です。
酸汚染の場合
酸性を中和するために、アルカリ性の物質を使って中和しましょう。
重曹や掃除用のセスキ炭酸ソーダなどを汚染箇所にかけて、中和させます。
このときに注意したいのが、アルカリ性が強過ぎると逆に汚染になってしまうことです。
アルカリ汚染は濃い黒ジミができるので、場合によっては事態が悪化することも考えられます。
シミの程度に合わせて中和剤の濃度を調整して、少しずつ様子を見ながら行いましょう。
もしアルカリ汚染が発生しても中和できるように、掃除用のクエン酸など酸性の物質も用意しておくのがおすすめです。
アルカリ汚染の場合
酸汚染のケースとは反対に、酸性の物質を使って中和させます。
掃除用のクエン酸やお酢などを汚染箇所にかけて、中和させます。
アルカリ汚染の程度に合わせて、中和する時間を調整しましょう。
例えば数分後に拭き取るだけで済む場合もあれば、1時間ほど放置してから拭き取ることで中和できる場合もあります。
アルカリ汚染は濃くシミができるので、取り切れなかったシミは金属汚染のように削るのもおすすめです。
アルカリ性の液体が染み込むほどに汚染を取り除きにくくなるので、素早い対応が必要となります。
汚染が発生したらできるだけ早く対処しよう
無垢材は紫外線による経年変化や、屋外で雨に晒されることによる風化など、自然な変色が発生します。
これらは無垢材ならではの、変化を楽しむ醍醐味の一つです。
しかし金属や酸性物質・アルカリ性物質による汚染は、無垢材の見た目を大きく損ねてしまいます。
原因物質を無垢材に近付けないようにして予防するのはもちろんですが、もし汚染された場合の対処法も知っておくことも大切です。
一度汚染されると時間とともに進行してしまうので、できるだけ素早く対処できるようにしておきましょう。