更新日:2024.10.16
トチノキとは? 木材、一枚板テーブルとしての魅力・特長について解説
トチノキは、国語の教科書に掲載されている『モチモチの木』に出てくる樹木です。
日本全国の渓流沿いの肥沃な土地に多く生育しており、特に北海道南部や東北地方など、寒冷地が主な産地となっています。
家具に使用される以外にも、臼や木の器などにも活用される生活に身近な木材。
実は食用として愛されています。
そんなトチノキは豊富な色合いや美しい杢目(もくめ)が特長で、主に一枚板のテーブルなどに利用されています。
他の樹種や異素材との相性が良いこともあって、モダンな空間を演出してくれる木材です。
トチノキとはどのような木材なのか、魅力・特長を解説します。
家具選びに悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- トチの主な用途と産地
- トチの特長【美しい杢目】
- トチの特長【丈夫で長く使える】
トチノキとは? 一枚板テーブルとして使われる?
ムクロジ科トチノキ属の落葉広葉樹で、高さ30m以上・幅2mほどにも育つ大きな樹木です。
幹がまっすぐ育つため、余計な枝を剪定する程度で、ほとんど手間をかけずに育つ木として知られます。
比較的軽い木材で簡単に加工できるため、家具や彫刻などを製造するのに使いやすい木材です。
赤・黄金・白など、さまざまな色合いを見せ、美しく個性豊かな杢目を楽しめることもあり、一枚板のテーブルなど家具材として愛されてきました。
またデンプンを多く含むトチの実は食用として利用されており、「栃餅」や「栃の実煎餅」などのお土産や、栃の花から作られる「栃蜜」などが人気です。
神社に植えられる・ご神木として祀られるなど、昔から暮らしと密接に関わってきた樹木の一つです。
主な産地
トチノキは日本原産の樹木で、北海道から九州まで日本全国に分布しており、特に北海道南部や東北地方など寒冷地に多く見られます。
水気を多く含んだ肥沃な土壌を好むため、自然が豊かで水の豊富な場所に生育している樹木です。
中でも県名に「栃(とち)」の字が入っている栃木県では、県木に指定されており、街中でも見かけることが可能です。
樹齢の高い立派な木が多いことで知られ、日本各地でご神木として祀られています。
また、日本のトチノキの近樹種である「セイヨウトチノキ」は、パリのシャンゼリゼ通りにあるマロニエ並木で見られます。
他にもトチノキは世界で24種生育しており、産地としては北アメリカやインド、ネパールなどが有名です。
主な用途
トチノキは比較的軽く、加工しやすい木材です。
テーブルをはじめとした家具や木の器、お盆、建築材、おもちゃ、楽器など、幅広い用途に使われます。
最近では減ったものの、大きく育つことから臼の材料としても利用されてきました。
近年では主にテーブルとして使われるケースが多く、特に一枚板を使用した場合は、個性的な杢目や豊富な色合いを楽しみやすくなっています。
他の樹種や異素材との相性が良いことから、幅広いインテリアにマッチする使いやすい木材です。
トチノキの木材、一枚板テーブルとしての特長と魅力
日本で古くから愛されてきたトチノキ。
臼や建築材料、楽器、食器類など幅広く活用されてきました。
中でも木材としての特長は、大きく4つ挙げられます。
いずれも家具に使用する上で、大きなメリットとなるものばかりで、唯一無二の魅力を生み出します。
トチノキはどのような特長がある木材なのか解説するので、家具選びに悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。
美しく個性豊かな杢目(もくめ)を楽しめる
美しく個性豊かな杢目(もくめ)を楽しめるのが、トチノキの大きな特長です。
「杢目」は、一般的によく使われる「木目」と異なるもので、両者には以下のような違いがあります。
・木目: 原木を切った際に、切り口に現れる年輪のこと
・杢目: 木材の表面に現れる模様のこと
木目は成長とともに生まれる年輪なのに対し、杢目は傷や天候などが原因で木材表面に起こる複雑な模様のことです。
不規則に乱れていたり、花鳥風月に似ていたりと味わいがあり希少なため、美しい杢目の入った木材は珍重されてきました。
中でもトチノキは「縮杢(ちぢみもく)」という細かく波立つような模様が現れる木材で、3cmの間に8種類もの模様が連なっていることもあります。
こうした杢目は曲がるよう圧力がかかったり、強い風がよく当たって揺さぶられたりすることでできるため、全てのトチノキに現れるものではありません。
杢目が入った一枚板は希少なため、高値で取り引きされます。
トチノキによって杢目の現れ方は異なるので、一つひとつ違った個性・表情を楽しむことができるのです。
豊富な色合いを楽しめる
色合いが一定ではなく、豊富な色を楽しめるのも特長です。
トチノキの色合いは、ひと言で表現するのが難しいほど多岐にわたります。
主に以下3種類に、大別できます。
・金色のように光輝く色合い
・白く光る色合い
・赤身を含む色合い
全体的に黄白色で中心部と辺材の境目がボヤけている色合いが多いですが、中心部分が褐色になっているものもあります。
トチノキによって色が異なるため、その木の個性になっています。
一般的に国産の木材は「赤みがかった色合い」が人気・価値ともに高い傾向にありますが、トチノキの場合は「白い部分」に価値があり、他の色よりも高価です。
特に全体が白い「白栃」は希少で、滅多に市場へ出回らない貴重な木材です。
国産材が少なくなっていることもあり、トチノキの人気・価値は年々上昇傾向にあります。
トチノキは同じ種類と思えないほど、木によって色が異なるので、豊富な色合いの中から気に入った木材を選ぶ楽しみがあります。
頑丈で長く使い続けられる
トチノキは堅い広葉樹ということもあり、比較的頑丈な木材。
家具に加工すれば、長く使い続けることができます。
強い衝撃を与えない限りは、長期間使い続けられるため、日常生活を送る上では、問題なく使用し続けられるでしょう。
一枚板テーブルのようにダイニングテーブルなどへ使用されることが多く、リビング・ダイニングの顔となる木材として親しまれています。
強い衝撃にさえ注意すれば、長期にわたってトチノキならではの美しさを楽しめるでしょう。
モダンな空間を演出してくれる
トチノキは日本の木材ですが、和風・洋風に捉われない見た目をしているので、和洋問わず幅広いインテリアにマッチします。
モダンな雰囲気を演出してくれるため、おしゃれな空間作りに貢献してくれる木材です。
日本では座卓として使われてきたため、トチノキに和風のイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、オイルで仕上げてしっとりとした落ち着いた肌触りにしたり、脚を濃い色にしてコントラストをつけたりすることで、洋室にも馴染む家具になります。
トチノキは和風・洋風どちらのインテリアにも馴染みやすく、モダンな部屋を演出するのにぴったりなので、どのような雰囲気の部屋にも合わせやすい万能な木材といえるでしょう。
他の樹種・異素材とも相性が良い
トチノキは他の樹種・異素材とも相性が良く、異なる木材・素材と組み合わせやすい木材です。
色合い的に明るい部類のトチノキは、同じく明るい色合いのナラ材やオーク材、タモ材などと組み合わせると、ナチュラルな雰囲気の部屋にできます。
反対にシックでモダンな雰囲気にしたい場合は、ウォールナット材のような濃い色合いの木材と合わせると、引き締まった高級感ある部屋にできます。
他にも異素材との組み合わせとしては、鉄や革などと相性が良く、さまざまな組み合わせを楽しめる木材です。
例えば、ダイニングテーブルの場合、脚に「同系色の木材を使う」「濃い色の木材を使う」「鉄など異素材を使う」の大きく3つの選択肢があります。
部屋の雰囲気やインテリアの傾向に合わせやすいので、幅広い楽しみ方ができます。
トチノキ製一枚板の家具を取り入れてモダンな空間を演出しよう
トチノキはさまざまな樹種との相性が良く、異素材とも組み合わせやすい木材です。
和洋問わず幅広いインテリア・雰囲気の部屋に合わせられるので、どのような部屋にも馴染みやすいのがポイントです。
また美しい杢目や多様な色合いが特徴的で、それぞれに個性があります。
同じトチノキを使った家具でも、杢目や色合いによって一つひとつ雰囲気が異なるため、気に入る商品は人それぞれでしょう。
ぜひあなたの目で、お気に入りの家具を探してみてください。