一枚板とは?メリット・デメリットをご紹介
一枚板というと「木材の家具」「高級な家具」「お店のカウンター」などをイメージする方は多いでしょう。
最近では、既製品をインターネットで購入できるようになったり、SNSを通じて一枚板とレジンを組み合わせたレジンテーブル(リバーテーブル)が注目されたりしたことにより、一枚板の家具は昔より身近なものになりました。
ここでは一枚板についての解説と、一枚板家具のメリットとデメリットをご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
一枚板とは?
一枚板とは、百年~数千年かけて育った巨木を縦にスライスし、切り出した板のことを言います。
木材の板でよく目にするのは合板といわれる板で、合板は単板(ベニヤ)を何層も多層接着した木材のことです。
単板(ベニヤ)を重ねることで頑丈な板になっています。
一方で一枚板は、巨木から切り出された状態のままでも十分な長さ、幅、厚みがあり、家具の材料として使えるため、ダイニングテーブルや、お店のカウンターの天板としてそのまま使用されることがほとんどでしょう。
他にも、工芸品として刳り物や茶道用具に使われることもあります。
一枚板の特徴
一枚板は「継ぎ目がない」ということが大きな特徴であり、そして魅力でもあるでしょう。
合板のように複数の木材を多層接着し再構成すると、木材と木材の継ぎ目が木材の面や断面に出ます。
しかし、一枚板は木からスライスした1枚をそのまま使い家具を作るのでどこにも継ぎ目がありません。
スライスされる板の厚さはおよそ4~5㎝。
幅や長さは木の幹の大きさによって変わりますが、木の幹が大きければ大きい程1枚板の幅や長さは大きく切り出すことができます。
例えば家庭のリビングに置く、4~6人用のテーブルをイメージしてみてください。
幅はおよそ70~80cm、長さが150~200cm程度といったところでしょう。
そのテーブルの天板が一枚板の場合、天板の模様は1本の木の木目だけで描かれるのです。
自然を切り取ったような継ぎ目のないデザイン。
一枚板はそうしたデザインを楽しむことができます。
一枚板の産地
日本には福岡県大川市、岐阜県飛騨高山、北海道旭川市など「家具の産地」と呼ばれる地域がいくつかあります。
木材産業が盛んな家具の産地では、一枚板もまた生産・加工が盛んです。
一枚板に使われる木材は、ウォールナット、クス、トチ、モンキーポッドなどたくさんの種類があります。
それぞれの木材は世界中から集められており、例えば以下のような地域が産地として有名です。
- 日本…杉(スギ)、クス、栃(トチ)
- 北米地域…ウォールナット
- 東南アジア…チーク
- 中国地域…ナラ
- アフリカ地域…ブビンガ
- 南米地域…モンキーポッド
など
上記でご紹介した産地はほんの一例で、世界中で育った樹木は伐採後、原木のまま日本に輸入されます。
一枚板の価値
一枚板は、いろいろな木材の中でも価値の高いものとして扱われます。
なぜなら、一枚板として使う樹木はある程度大きくて太い必要があり、実に100年以上の年月をかけて育った樹木を使用しているからです。
もうひとつの理由として、「世界に1つしかないデザインの家具になる」ということが挙げられるでしょう。
切り出した一枚板の色・形・木目が世界に同じものは、2つとありません。
木の種類の希少価値によっても価値が変わることもあります。
価格は10万程度のものもあれば50万以上、100万以上するものもあるのです。
一枚板の用語
一枚板に関わる用語をいくつか紹介します。
・原木(げんぼく)…木をスライスしたままの状態の板を指します。
・共木(ともぎ)…同じ一本の木から切り出した複数の板のことを共木といいます。
・末(すえ)と元(もと)…末と元は木の上下を指す言葉で、末は上に伸びていく方、元は根本に近い方を指します。一枚板は末が細く、元が太い傾向です。
・木口(こぐち)…木を切断したときの切断面を木口と呼びます。年輪を数えることができます。
・耳(みみ)…木の樹皮の一番外側、デコボコした部分を耳と呼びます。このデコボコ感を残して加工された板は「耳付き」と呼ぶことも。なお、耳を直線にカットして取り除いた面を木端(こば)といいます。
・節(ふし)…節は茶色い斑点のような模様を描いていている部分で、これは、木が大きく成長する過程で枝が幹に巻き込まれ形成されるものです。
・木目(もくめ)…木をスライスしたときに面に見られる年輪のことを指します。木目には大きく分けて「板目(いため)」「柾目(まさめ)」の2種類があります。
・杢(もく)…杢、杢目(もくめ)は一般的には柾目(まさめ)や板目(いため)と異なる、特殊な模様の木目のことを指します。木が育った環境の違いで年輪が複雑な形成になった状態です。杢のある一枚板は希少価値が高く、玉杢(たまもく)、波状杢(はじょうもく)など模様によって名称がつけられることもあります。
一枚板家具のメリット
次に、一枚板家具のおすすめポイントやメリットを紹介していきます。
デザイン性が高い
一本の樹木から切り出される一枚板は、人が加工して作ることができない、自然そのものを切りとったような味わい深いデザインです。
リビングのテーブルやお店の内観などに使うことで自然を感じ、心を暖かくさせてくれるでしょう。
料亭や旅館などでは高級インテリアとして需要が高く、また、最近では一枚板とレジンを組み合わせた新しいデザインのレジンテーブルも流行っており、多くの世代に愛されています。
耐久性に優れている
一枚板家具は耐久性が高く寿命が長いとされています。
日本ではちゃぶ台や衝立、海外では、リビングテーブルやローテーブルなどの家具として親から子へ世代を越えて、何世紀も使うことも少なくありません。
木材の性質として湿気による反りや割れ、ねじれが起こることもありますが、それらは塗装を行ったり、定期的なメンテナンスを行ったりすることで一枚板家具の個性の一つとして楽しむことができます。
2つとない家具になる
そして一番のメリットはやはり、一枚板で作った家具は世界に2つとない家具になることです。
木の素材を使った家具といえば木目は重要なデザイン要素です。
木目は同じ樹木からスライスされた共木でもまったく同じ木目になることはありません。
さらに、量産されている同じ形の家具と比べ一枚板は、木そのものがこれまで育ってきた背景を感じ取れるような趣があり、そして家具として使い込んでいくことで、より一層味わい深い家具になっていくのです。
一枚板家具のデメリット
次に、一枚板家具のデメリットや気をつけたいポイントを紹介していきます。
購入費用
一枚板家具は合板の家具と比較すると購入費用が高いです。
例えば、一枚板を購入される方のご予算は10万~50万程度が多いでしょう。
希少価値の高いものであれば車1台分の値段になることもあります。
利便性・機能性
デザイン性に優れている反面、機能を重視した家具を作り難い点が挙げられます。
例えば、一枚板そのもののデザインを尊重して家具を作っていくため、同じ形、同じ基準を満たす製品を大量生産したいという場合は不向きでしょう。
また、合板を使った家具のように軽量化を図る工夫ができませんので、家具の大きさに比例して重量も発生します。
一枚板を使って長く愛用できる家具を
一枚板は樹種によって色、形、木目がそれぞれ個性的で豊かな表情を持ちます。
家やお店の雰囲気に合わせて、カジュアルなダイニングテーブルにも、高級感漂うカウンターにも活用できます。
アトリエ木馬ではいろいろな生活空間に合わせたコーディネートを紹介していますので、ぜひご覧ください。
また、一枚板テーブルの購入を検討している方はぜひ一度弊社のショールームにご来店ください。
様々な樹種の一枚板テーブルのなかから、運命の一枚を決めるお手伝いをいたします。