更新日:2025.09.02

集成材のデメリットとは? 無垢材との違いや家具選びで気を付けたいポイント

無垢材と集成材の家具を合わせたコーディネート

集成材は、複数の板を接着して作られる人工の木材で、家具や建材として広く使用されています。

無垢材と比較するとリーズナブルで品質が安定しているなどのメリットがありますが、加工して作られることによるデメリットもいくつかあります。

 

本記事では、集成材の特徴やメリット・デメリット、無垢材との違い、家具選びのポイントについて詳しく解説します。

木材の特性を理解し、ライフスタイルや予算に合った家具を選びましょう。

集成材とは?

  • 集成材とは?

集成材とは、複数の木材を乾燥させて割れや節を取り除き、接着剤でつなぎ合わせて作られる人工の木材です。

「エンジニアリングウッド」とも呼ばれ、天然の木材である無垢材の弱点である反りや割れ、品質のばらつきを補う目的で生まれました。

品質が安定しており、加工や取り扱いがしやすいことから、家具や床材、内装、構造部材など幅広い用途で使用されています。

 

集成材の分類

集成材の中には、「構造用集成材」「造作用集成材」という2つの種類があります。それぞれ特性や用途が異なるため、目的に応じた適切な選択が重要です。

構造用集成材は、住宅や建築物の柱や梁など、建物を支える時に使用される木材です。強度と耐久性に優れており、建築基準法に沿った厳格な品質基準で製造されています。

構造用集成材がよく使われる場所は、以下の通りです。

 

  • 柱・梁
  • 土台部分
  • 構造フレーム
  • 耐力壁

 

このように、建物の構造的な安定性を左右する重要な部分に多く採用されています。

 

一方の造作用集成材は、家具や建具(ドアや窓など)などの仕上げに用いられる集成材で、加工のしやすさと美しい見た目が特徴です。よく利用される場所は以下の通りです。

 

  • テーブルの天板
  • カウンター
  • 棚板
  • 階段
  • 敷居
  • ドア・窓枠
  • 化粧梁

 

このように、装飾的な要素を持つ部分に採用され、DIYにもよく使用されます。

集成材のメリット

  • 集成材のメリット

集成材は、安定した品質や扱いやすさ、お手頃さなど多くの利点があります。ここでは、実際に集成材にはどのようなメリットがあるかを詳しくご紹介します。

 

品質が安定している

集成材は、木材の節や割れなどを取り除き良質な部分だけを接着して作られているため、品質が安定しているのが特徴です。

木材の曲がりや反りなどを取り除いて加工するので、建築材料として必要な強度や耐久性を確保できます。

さらに集成材は無垢材と比べると、木の色や木目を統一しやすいのがメリットです。

見た目を均一にしやすいことから、内装や家具の材料として広く使われています。

 

幅広いサイズに対応できる

無垢材の場合、詳しくは後述しますが、一本の木から製造できる木材の数や大きさは限られています。

一方、集成材は複数の板を組み合わせて製造するため、幅や長さ、厚みなど、必要に応じたサイズに対応しやすいのが特長です。

用途に合わせて必要な大きさや形に加工できるので、自由な設計・デザインが可能です。

 

反り・割れが少ない

集成材は、無垢材と比べて反りや割れが少ないのもメリットです。無垢材は自然の木なので水分を含み、乾燥すると歪みが出るため、扱う際には配慮が必要です。

一方、集成材は乾燥処理された複数の木材を接着して作られており、水分量が調整されているため、変形が生じにくくなっています。

温度や湿度が変化しても安定した形状を保ちやすく、家具や建材として使用するのに適しています。

 

比較的お手入れが楽

集成材は無垢材と比較して、日常のお手入れが楽です。

無垢材は水に弱く、化学薬品が使えないため、お手入れに多少の手間がかかります。

集成材は場合によっては、湿った布で拭いたり、中性洗剤などを使って汚れを落としたりすることも可能です。

ただしお手入れの方法や洗剤の種類は、集成材の特性や製造方法、表面処理の違いによって異なるため、製品の取扱説明書や注意点を事前に確認しておくことが大切です。

適切なお手入れ方法を知れば、集成材の美しさと耐久性を長期間維持できます。

 

価格がリーズナブル

集成材は、無垢材より安価な傾向にあります。集成材は小さな木片や端材を余すことなく有効活用でき、需要に合わせて製造できることが理由です。

高級木材や特殊な仕上げをすると高くなるケースもあるものの、予算に合わせて選びやすい木材といえるでしょう。

無垢材を使用した製品には手が届かなくても、木材製品を生活に取り入れたいという需要に対応可能です。

集成材のデメリット・注意点

  • 集成材のデメリット

集成材にはいくつかのデメリットもあります。以下で詳しく見ていきましょう。

 

耐用年数が短い

集成材のデメリットの一つは、耐用年数があまり長くないことです。

木材そのものは、適切な環境下では数百年使用できるといわれていますが、集成材には接着剤が使用されており、その接着剤の耐久性が寿命に影響します。

一般的に、木材に使用される接着剤には構造用と造作用の2種類がありますが、一般的には構造用と造作用のどちらも、湿気や温度変化、紫外線の影響を受けると劣化が進行しやすくなります。

以下のような場所では、耐用年数が短くなりやすいので注意が必要です。

 

  • 雨や風、直射日光にさらされる場所
  • 温度や湿度が大きく変化する場所
  • エアコンの温風が直接当たる場所

 

集成材を長持ちさせるには、これらの場所をできるだけ避けて使用しましょう。

 

化学物質が含まれる

集成材の加工には接着剤が使用されています。

2025年現在では集成材の品質基準について「日本農林規格(JAS)」でしっかりと定められており、性能面だけでなく、ホルムアルデヒド放散量などについても試験方法と適合基準があるため安全性は高まっています(※)。

とはいえ化学物質に敏感な方や、アレルギー・化学物質過敏症をお持ちの方は、体調不良などの反応が出る可能性がないとは言い切れません。

無垢材と比べると完全な自然木材ではないため、木材選びの際は注意が必要です。特に子どもやペットがいる家庭では、安全基準や成分表示を事前に確認しておくとよいでしょう。

※参考:日本集成材工業協同組合.「集成材について」.https://www.syuseizai.com/laminate03 ,(参照 2025-07-04).

 

木材の継ぎ目がある

集成材は木片をつなぎ合わせて作られているため、つなぎ目の見た目や色合いに差が出ることがあります。

使用する木材の種類や部位によって木目や色異なるため、組み合わせによっては、つなぎ目が不自然に見えてしまうこともあるかもしれません。

気になる場合は、購入を検討する際には、実物を確認するようにしましょう。

また、塗装済みの製品を選ぶのも方法の一つです。塗装済みの製品であれば、色の違いやつなぎ目が塗料によって目立ちにくくなります。

ただし、塗装の質や仕上がりにも個体差があるため、この場合も実物を確認するほうが安心でしょう。

 

質感が硬め

集成材の質感が無垢材と比較して質感が硬めな点も、デメリットに感じるかもしれません。製造の特性上、接着面が多くなるため、どうしても自然のままの木材よりもやや硬さが出ます。

床や階段など素足で触れる場所に使用すると、踏み心地や肌触りが気になることもあります。

なお硬いからといって、必ずしも表面に傷が付きにくいわけではありません。基本は木材なので、鋭利なものや硬いものをぶつけてしまうと、傷や凹みになることがあります。

 

重量がある

集成材は比較的重量があります。複数の木材を接着剤で貼り合わせて作られているため、密度が高くなり、どうしても重さが出てしまうのです。

ある程度厚みがなければ強度を保てないため、薄くできないという理由もあります。

このことから、修正材を壁や天井に用いるには重量がネックとなるケースもあるようです。

ただしダイニングテーブルなどのように、長く同じ場所で使う家具ならば、重量の問題は大きなデメリットにはならない可能性が高いでしょう。

集成材と無垢材はどう違う?

  • センダン一枚板テーブル

集成材は、小さな木材を貼り合わせて形成された人工の木材です。

対して、無垢材一本の木を切り出した後、乾燥させてそのまま使用する、自然の風合いを生かした木材です。最低限の加工のみで、接着剤などは使用していません。

 

中でも無垢材の一枚板は、自然の形をほとんどそのまま残した木材です。家具などに用いると他にはない個性的な雰囲気を醸し出し、インテリア性が高い一点ものの製品となります。

無垢材は木本来の質感や手触り、香りを楽しめるのが特長で、時間が経つほど色合いに深みが出る経年変化も魅力です。また調湿性にも優れ、室内環境を快適に保つ効果も期待できます。

 

集成材と無垢材はそれぞれにメリット、デメリットがあるため、一概にどちらが良いとは言えません。目的や用途、ニーズによってどちらを選ぶかよく検討する必要があります。

次からは無垢材のメリット・デメリットを見ていきまましょう。

無垢材のメリット

  • アサメラ一枚板テーブル

ここからは、無垢材のメリットを詳しく紹介します。

 

自然な風合いや香りが楽しめる

無垢材の魅力は天然木の自然な風合いや香りを、肌で直接感じられることです。季節や湿度によって微妙に変化する木の表情や香りを楽しめます。

無垢材は一つとして同じものはありません。それぞれの木が育った環境や年輪の付き方によって、唯一無二のデザインや風合いを味わえるのが魅力です。

 

経年変化による味わいが出る

無垢材は、年月とともに独特の風合いや色味を深めていくのが魅力です。色味の変化は、光の当たり方や角度、樹種によって異なり、さまざまな表情を見せてくれます。

家や家具で採用した場合、こうした経年変化が、子どもたちの成長や家族の思い出と重なるのも、魅力の一つです。

 

化学物質を使っていない安心感

無垢材は自然の木から切り出された純粋な木材であり、集成材などに使われる化学接着剤を一切使用していません

前述でも触れたように、集成材に使用される化学接着剤は、ホルムアルデヒドなどの化学物質を含む場合がありますが、現在はJAS・JIS規格において品質基準が設けられており、安全性に配慮した製品も多いです。しかし、臭いや化学物質に特に敏感な人は気になる場合もあるでしょう。

無垢材は化学接着剤を使用していないため、有害物質の影響がなく、自然の質感を楽しめる人に優しい木材です。湿度を調整する性質も持ち合わせており、快適な室内環境づくりができます。

無垢材のデメリット・注意点

  • ベリ一枚板テーブル

無垢材は天然木材ならではの魅力がある一方で、いくつかの注意点やデメリットもあります。

これらのデメリットや注意点を理解すれば、納得のいく選択ができるでしょう。以下で詳しく解説します。

 

サイズや形が制限される

無垢材では、一本の木から得られる木材大きさには限界があります。

デザインや用途によっては、選択肢が限られてしまうのがデメリットの一つと言えるでしょう。

 

反り・割れが起きやすい

無垢材は湿気の影響を受けやすく反ったり割れたりしやすいです。ただし、乾燥を適切に行えばある程度軽減できます。

日本のように湿気が多い地域では、この現象がより顕著に現れます。無垢材を選ぶ時は性質を理解し、定期的な手入れを心がけることが重要です。

 

価格が高い

無垢材は樹齢が長く、恵まれた環境で育った木からしか取れないため、価格が高くなりがちです。

乾燥には数カ月かかり、加工には専門技術が必要なので、これらの手間やコストが価格を押し上げる要因となります。

コストを削減したい場合は、予算に応じて部分的に取り入れるとよいでしょう。

集成材か無垢材か?家具選びのポイント

  • ニッポネア×木馬

集成材と無垢材にはそれぞれ違った特徴があるため、使い方を工夫することでそれぞれの良さを生かせます。

水回りには湿気に強い集成材を、リビングやダイニングには天然木の温かみを感じられる無垢材を選ぶといったように、使い分けるのも一つの方法です。

 

また集成材は無垢材よりリーズナブルなため、予算を抑えたい場合も、両方をうまく組み合わせるのがよいでしょう。

例えば、目立つ場所や触れる部分には無垢材を、それ以外の場所には集成材を使うことで見た目と機能性の両立ができます。

 

どちらを選ぶかは生活スタイルや住環境、予算を考えて決めましょう。

まとめ

  • 無垢材と集成材の家具を合わせたコーディネート

集成材は価格が手頃で、加工や取り扱いがしやすく安定性に優れていますが、人工的な木材のため風合いや質感、接着剤を使用することによるデメリットがあります。

対する無垢材は天然木材ならではの美しさと経年変化を楽しめる反面、価格が高く、反りや割れが起きやすいというデメリットがあります。

 

家具を選ぶ際は、木材の特性を理解した上で用途や設置場所、予算を考慮し、検討するとよいでしょう。

 

アトリエ木馬では、無垢一枚板を使用したこだわりの家具を取り扱っています。

既製品から選ぶこともでき、オーダーメイドにも対応しています。無垢一枚板の家具に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

 

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