更新日:2026.09.01
【青山店】「木」に対する考え方

皆さんは「ジョージ・ナカシマ」
という建築家・家具デザイナーをご存知ですか?
現在、東京都江東区・東陽町駅の近くにある竹中工務店東京本店内の「GALLERY A⁴(ギャラリー エー クワッド)」では、
ジョージ・ナカシマの展覧会「ジョージ・ナカシマの造形 ―木の声を聴く―」が開催されています。
私も先日、実際に足を運んできました!
一枚板を皆様にご案内する身として、ジョージ・ナカシマの【木】に対する考え方にとても感銘を受けたので、ここで少しお話しさせていただきたいと思います。
ジョージ・ナカシマとは?
ジョージ・ナカシマは、1905年にアメリカ・ワシントン州で生まれた、日系アメリカ人の建築家・家具デザイナーです。
日本名は中島 勝寿(なかしま かつとし)。
アメリカで生まれ育ったナカシマですが、1934年に初めて日本を訪れ、建築家アントニン・レーモンドの事務所で働くなど、日本で過ごした時期もありました。
そこで前川國男や吉村順三らとも仕事を共にしています。
その後、家具づくりの道へ進み、木そのものの個性を活かした、数多くの名作家具を生み出しました。
代表作として知られているのが、「コノイドシリーズ」や「ミングレンシリーズ」です。
そして、ナカシマと日本との深い関わりを語るうえで欠かせないのが、香川県高松市にある桜製作所です。
1964年、ナカシマは彫刻家・流政之の紹介で桜製作所を訪れ、その技術に深い信頼を寄せるようになります。
その後、桜製作所との協力によって、日本でもナカシマデザインの家具が製作されるようになりました。
現在も、ナカシマの家具はアメリカ・ニューホープの工房と桜製作所でつくり続けられています。
また、香川県にはジョージ ナカシマ記念館があり、彼の生き方やものづくりへの考え方、哲学を、実際の作品や写真、手紙、ドローイングなどを通して知ることができます。
1990年にナカシマが亡くなった後も、桜製作所では彼の家具を作り続け、世界にその素晴らしさを伝えています。
樹木の第二の生
単に「家具をデザインした人」ではなく、木と対話し、木の個性を活かしながらものをつくった人。
そんな彼の考え方を知るなかで、私が特に心に残った言葉があります。
彼は、木についてこのように語っています。
「我々は、樹木が第二の生のために希望するものを満たしてやろうと、また樹木の豊かさと美しさを発揮させてやろうと願って、これら崇高な樹木から切り出された板材を相手に働き続けている」
木の植生を深く理解していたナカシマは、おおよその樹木は、成熟期に伐採して適切に乾燥し、そして適切に木取りをして、適材適所に生かすことで、家具や建築としての「第二の生」を与え得ると考えていました。
桜製作所にも、彼が「木の声を聞く」ことを大切にしていたという記録が残っています。

これを一枚板に置き換えて考えてみると、私たちの仕事にも通じるものがあります。
私たちは、樹木から生まれた一枚の板を加工し、家具として新しい役割を与え、お客様のもとへお届けしています。
まさに、樹木にとっての「第二の人生」です。
そして私たちは、その木とお客様との出会いをお手伝いしている。
そう考えると、一枚板をご案内する仕事は、とても素敵な仕事だなと改めて感じます。
木は受け止めてくれる
今回の展示の中で、個人的にとても好きだなと思った逸話があります。
ある陶芸家の方がご自宅を新築された際、建築家の紹介でジョージ・ナカシマに家具を依頼することになったそうです。
家具の相談のためナカシマの自宅を訪ねたとき、そこで使われていた木のテーブルを見せてもらったそうです。
ところが、その天板にはコップの輪じみがいくつも残っていました。
立派な家具をつくる人のテーブルとは思えないその様子に、陶芸家の方は驚いたそうです。
そのときナカシマは、
「どういう使い方をしたって、木は受け止めてくれるんだよ」
と話したといいます。

もちろん、これは「アトリエ木馬の一枚板も、どんな使い方をしても大丈夫です!」とお伝えしたいわけではありません。
一枚板は、長く使う中で色が変化したり、環境によって反りや割れが生じたりすることがあります。
でも、それらの変化も、木がその場所で生き続け、環境に順応しようとしている証のひとつ。
そう考えて、その変化も含めて一枚板を楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
特に、アトリエ木馬青山ギャラリーに展示している一枚板は、アトリエ木馬の中でも選りすぐりのものばかりです。
美しい杢や個性的な木目を持つ一枚板ほど、木の動きが現れやすいという一面もあります。
もちろん、私たちもできる限り木の性質を見極め、適切な乾燥や加工を行っています。
それでも、木は自然のもの。
使い続ける中で生まれる小さな変化も、その一枚が生きてきた証として、見守っていただけたら嬉しく思います。
さいごに
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