更新日:2024.05.16
一枚板に反り止めは必要?種類や加工方法を合わせて解説
木材は一枚板の状態でも呼吸を続けているので、無垢材を切ったまま放置していると「反り」や「割れ」が発生してしまいます。
天然木ならではの風合いや質感が魅力の無垢材ですが、湿度の影響を受けやすく反ってしまうのが難点。
湿度が高ければ湿気を吸い込み、乾燥していれば湿気を吐き出します。
この際に起こるのが「反り」です。
例えばテーブルの端が反ってしまったり、フローリングに隙間が生じたりといった影響が出ます。
反りは木材につきものなので、反り止めで変化が起こらないよう対策を施すのが一般的です。
一枚板の反り止めとはどのようなものなのか、反りが起こる理由や加工方法などを解説します。
一枚板の購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 反りの原因は「調湿作用」と「収縮・膨張」
- 反りが起きてしまった際の対処法
- アトリエ木馬の一枚板には反り止めがない!
一枚板の反り止めとは?なぜ必要?
一枚板が反るのを防ぐために、家具にはさまざまな加工が施されます。
その1つが反り止めです。
家具の中でも、タンスやチェストなど組まれるものは反りにくいのですが、テーブルやカウンターなどに使用される天板は大きな一枚板を使用するため、特に反りやすくなっています。
いくら家具へ加工する前に木材を乾燥させていても、家具を使用していると湿度の変化によって反りは発生するものです。
もし対策していなければ、テーブルの天板が反ってしまいます。
天板が反ると使いにくいのはもちろん、見た目を大きく損なってしまいます。
無垢材に反りが起きる理由
無垢材につきものの反りが起きる理由として、木が持つ「調湿作用」と「収縮・膨張」という2つの特性が挙げられます。
木は木材に加工されてからも呼吸を続けており、湿度が高いと湿気を吸い、乾燥していると湿気を吐き出す性質があります。
これが調湿作用です。
また呼吸の際に人間が肺を膨らませるように、木も呼吸時に収縮・膨張します。
湿気を吸う際に膨らみ、湿気を吐き出す際に縮むため、周囲の湿度や環境に応じて収縮と膨張を繰り返します。
この収縮と膨張によって起きるのが、木材の反りです。
同じ木材でも木目の方向や場所によって、収縮・膨張率が異なるため、木材の細胞全てが均等に変化するわけではありません。
収縮しやすい部分もあれば、収縮しにくい部分もあります。
同じ木材の中で収縮・膨張率に差があることで、木の反りは生まれます。
ちなみに板目材の方が反りやすく、柾目材の方が反りにくいのが一般的です。
一枚板に施す反り止めの種類
一枚板に施される反り止めは、吸い付き桟と鉄製反り止め桟の大きく2種類あります。
どちらもテーブルを製作する際に、職人によって施されるものです。
それぞれ詳しく解説します。
吸い付き桟
アリ溝と呼ばれる台形の溝を彫り、溝へ硬い木材をハメ込むことで反りを抑える方法です。
一枚板に接着剤などで木材を貼り付けるのではなく、彫った溝にぴったりとハメ込むため、一枚板が収縮・膨張しても動きを合わせられます。
木材にストレスを与えずに、強く抑え込めるのが大きなメリットです。
過度のストレスを与えないことで、割れの発生リスクを抑えながら反りを防ぐことが可能です。
反対にデメリットとしては、天板の裏面に木材が飛び出る点が挙げられます。
椅子に座った際に、反り止めが脚に当たったり、椅子をテーブル下に収納しにくくなったりする可能性があります。
吸い付き桟を施したテーブルを購入する際は、反り止めが邪魔にならない位置に配置されているか確認するようにしてください。
加工方法としては、天板裏に台形の溝を彫り、溝にぴったりハマるよう加工した木材をハメ込むというシンプルなスタイル。
溝は段々と狭くなるようになっており、ほんの少しの差ですが、わずかに角度をつけることでアリ溝と桟がフィットします。
0.01mm単位の調整が必要になるため、職人の繊細な技術が必要となります。
鉄製反り止め桟
同じく天板裏に溝を彫り、溝へ鉄製のプレートをハメ込むことで反りを抑える方法です。
天板裏にT字やL字の溝を彫って、そこに鉄製のプレートをハメ込みます。
木材同士のように吸いつかないため、金属製のビスで固定します。
薄いプレートを使用するため、吸い付き桟のように反り止めが大きく目立たないのがメリットです。
中には完全に埋め込んで、フラットに仕上げるものもあります。
どちらも反り止めが出っ張らないため、椅子の肘掛けや座る人の脚に当たって邪魔になる心配がなく、デザイン的にも目立ちません。
デメリットとしては、金属を使用すること。
せっかく無垢材を使用するのであれば、木材だけで仕上げて欲しいという方には適しません。
加工方法としてはT字やL字の溝を彫って、鉄製のプレートを埋め込みビスで固定します。
プレートをぴったりハメてしまうと木の収縮・膨張を妨げて、反りや割れが生じるため、あえて溝との間にわずかな隙間を空けておきます。
アトリエ木馬の一枚板には反り止めがない!?
ここまで説明してきましたが、実はアトリエ木馬の一枚板には、前述したような反り止めの加工は施しておりません。
「反り止めを付けないと反ってしまうと説明したばかりなのにどういうこと?」
と思われる方も多いかと思いますが、アトリエ木馬では加工の段階で「高周波プレス機」という特殊な機械を使用しているため、反り止めを使用しなくても反りや割れのリスクが軽減できています。
反り止めを使用していないため、両面テーブルとして使用できる仕様の一枚板です。
高周波プレス機とは
高周波プレス機とは、一枚板の中に含まれる水分を木の内部から蒸発させながら、全体の水分量を均一にすることができる機械です。
製材・乾燥を終えた一枚板の大半は反りがでていることがほとんどです。
そこで、乾燥中に反った板を高周波プレス機でゆっくり熱を加えながら平らにします。
木に負担が掛からないように、ゆっくりと時間を掛け、木の繊維を柔らかくしながら徐々にプレスしていきます。
乾燥も重要
高周波プレス機の前に、「乾燥」も重要な工程です。
アトリエ木馬では、一枚板の乾燥に2年から長い物で10年以上を要します。
製材された板が30,000枚以上桟積みされ、まずは自然乾燥。
水分がある程度落ちたら、人工乾燥窯に入れ、含水率を調整して、ようやく一枚板の仕込みが完了します。
このように、「自然乾燥」「人工窯乾燥」「高周波プレス機」の3度の乾燥段階を踏むことで、全体の水分量がほぼ均一になり、安心してお使い頂ける一枚板を作ることができるのです。
一枚板の反りの直し方
反り止めを使用した一枚板も、高周波プレス機を使用して製造した一枚板も、収縮・膨張は繰り返すので、必ずしも反らないとは言い切れません。
大切なテーブルなどに使用されている一枚板などが反ってしまった場合「戻したい」「直したい」と思われるでしょう。
もし一枚板が反ってしまった場合の対処法を紹介します。
しばらく放置する
少し反った程度の一枚板であれば、木材の反っている面(凹面)を下に向け放置すると直る可能性があります。
しばらく様子を見ても変化がないようであれば、凹面だけラップで覆ってまた放置します。
それでも戻らなければ、凹面に霧吹きで水分を与えて、下に向けた状態で数日間放置してみてください。
いずれも風通しをよくして、室内もしくは日陰で行いましょう。
軽度の反りであれば、自然と直る可能性があります。
アトリエ木馬の一枚板は反り止めがなくても安心して使用できます
無垢材の一枚板は呼吸を続けているため、収縮・膨張を繰り返しています。
もし何の対策も行わなければ、大きく反ったり割れたりしてしまいます。
アトリエ木馬では、「高周波プレス機」を加工段階で導入することにより、反り止めを使用することなく、反りや割れのリスクを軽減し安心してお使い頂ける一枚板を製造しております。
特にテーブルやデスクなどの天板は、他の家具と比べて反りやすい部分。
一枚板は普段見えない部分まで、こだわって加工されています。