更新日:2024.05.24
屋久杉とは?木材の特長と歴史をふまえて魅力を解説
世界遺産として知られる屋久島に生息している「屋久杉」。
縄文杉という名でも聞いたことがあるかもしれません。
数ある木材の中でも、高級材といえば屋久杉を思い出す方も多いのではないでしょうか?
今回は、そんな屋久杉の木材としての特長や、屋久杉一枚板テーブルの魅力を解説いたします。
購入をご検討中の方、欲しいけどなかなか手が出ない方など、ぜひご参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 歴史的な樹種、屋久杉の特徴
- 屋久杉の一枚板テーブルを使用したコーディネート
屋久杉(ヤクスギ)とは?
自然遺産として世界遺産に登録されている「屋久島」。
屋久島の標高500mを超える山地に自生している、樹齢1000年以上のスギを「屋久杉」と呼びます。
「縄文杉」という名は誰しも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
縄文杉は屋久杉の中の1本の木に付けれらた名です。
スギはヒノキ科の樹木で、屋久杉以外にも、秋田杉や立山杉、北山杉など、様々なスギの地域名称があることからわかるように、スギは、屋久島から青森県にかけて分布している日本の特産種といわれています。
スギの中でも屋久杉がどんな木なのか、屋久杉の生育過程や歴史と合わせてご紹介いたします。
屋久杉の生育過程
屋久島は今からおよそ1400万年前に花崗岩マグマが海底プレートを押し上げて隆起した島で、屋久島の山間部はすべて花崗岩でできています。
この花崗岩の山地は栄養が乏しく、植物が成長するにはあまり良い環境とは言えません。
その代わり、屋久島は一年を通して非常に雨量が多い場所のため、常に新鮮な水に恵まれた環境でもあります。
屋久杉は、過酷な自然の環境下の土壌で、多くの新鮮な水をもらいながら、ゆっくりと育ちます。
そのため、成長が遅い分、年輪が緻密で樹脂分が多く、腐りにくいので、樹齢千年という長い年月を生きられると考えられています。
屋久杉と小杉
屋久島に生えるスギの中でも、樹齢1000年以上のもののみが「屋久杉」と呼ばれることをご存知でしょうか?
樹齢1000年より若い樹齢のものは「小杉」と 呼ばれています。
屋久島の杉が伐採され始めた当初、建築材料等に使用しやすいように、真っすぐ育つ杉を選んで伐採をしていました。
その伐採跡の明るい場所に新たに植えられたのが、樹齢数百年の「小杉」です。
これに対し、樹齢1000年を超える「屋久杉」は、伐採開始前から生えていたものといえます。
伐採跡の光に恵まれた場所に育つ「小杉」に比べて、成長が遅く緻密な年輪を持ちながらゆっくりと育っていきます。
「屋久杉」の多くは、長い年月雨や風などの自然災害に耐え、うねりながら育つため、まっすぐ育たず、建築材料等に利用しにくいという理由から切り残されたものなのです。
屋久杉の歴史
スギはまっすぐで軽く、加工しやすい木材として縄文時代から利用されてきた樹種ですが、屋久島の山々は霊山とされ、またそこに育つスギは御神木としてあがめられていたため、伐採するものはいなかったと言われています。
17世紀初頭、当時屋久島を支配していた薩摩藩の島津氏が、財政上等の目的から屋久島に生えるスギに着目し、伐採を始めました。
その後、江戸時代末期までに屋久島に生えるスギのうちの5~7割が伐採されたと言われています。
1970年前後になり、屋久島の天然林伐採に対して、自然保護運動による反対運動が始まりました。
その後、屋久杉を中心とする天然林保護のための各種施策がとられるようになります。
1993年、屋久島が世界遺産に認定されたことを機に、屋久杉の伐採に強い制限が設けられました。
2001年には、屋久杉の伐採が正式に禁止、その後市場には出回らなくなりました。
現在存在する木材としての屋久杉は、それ以前に伐採されたもの、もしくは、自然倒木したもののいずれかのみとなります。
そのため、年々希少価値が上がり、なかなか手に入れることのできない高級材として有名になったのです。
屋久杉の木材としての特長
屋久杉が特殊な環境下で育った木材であることがわかったところで、ここではどんな特徴を持った木材なのかを解説していきます。
緻密で美しい木目
屋久杉の一番の特長と言えば、やはり他に類を見ない、緻密で美しい木目です。
木目の細かさ、普通のスギと比較すると一目瞭然。
過酷な環境下で1年に数ミリずつしか成長しない屋久杉の緻密な木目は、一目見ると吸い込まれる存在感です。
また、普通のスギと比較すると、心材の色味が濃く、深みのある色合いも魅力と言えます。
また、木目とは別に、様々な美しい「杢目」が現れるのも特長です。
屋久杉に見られる杢目には以下のものがあります。
・縮み杢
・虎杢
・泡杢
・笹目
・光明
・蓮根
どれも非常に珍しい杢目でこれらが入ることにより、さらに希少価値が上がります。
独特な香り
屋久杉の特長の一つとして、その独特な「香り」もあげられます。
屋久杉の香りは、普通のスギのようなさわやかな香りとは少し異なり、落ち着きのある上品な香りが特徴です。
やわらかく、あまい香りと表現する人もいます。
そもそも木の香りの正体は何かというと、樹木は自らを虫や菌から守るために、「フィトンチッド」と呼ばれる精油成分を作り出して幹の中に蓄えており、このフィトンチッドが木の香りの源となっています。
他のどの木よりも長い年月を生き続け、自分の身を守るために自ら作り出している屋久杉の香りは、唯一無二の存在といえます。
耐久性
屋久杉は、普通のスギに比べて、樹脂が多く腐りにくい、虫にも強いという特徴があり、耐久性の面でも優れています。
それに加え、前述してきた通り、屋久杉は成長が遅く年輪が詰まっているため、圧縮・引っ張り・曲げなどの強度も普通のスギに比べると優れています。
とは言え、屋久杉もスギと同じ針葉樹のため、重厚な木材としてあげられるアフリカ材などの広葉樹と比較すると、柔らかい木材です。
屋久杉を使用した製品の取扱には十分注意する必要があります。
屋久杉一枚板を使ったコーディネート
屋久杉の一枚板テーブルと聞くと、和室に置く座卓をイメージする方が多いのではないでしょうか?
厚みがあり、高級感と風格のある屋久杉一枚板を使用した座卓ももちろん魅力的ですが、実は洋室にも合わせやすい種類です。
他の樹種では演出することのできない高級感と、和モダンテイストなおしゃれな空間を作ることができます。
実際にアトリエ木馬でご納品させて頂いた屋久杉一枚板テーブルのコーディネート事例をご紹介いたします。
屋久杉の一枚板テーブルをご検討中のかたはぜひご参考にしてみてください。
屋久杉一枚板に異素材のガラスを合わせて
できる限り自然の形を残したいというお客様のご要望で、穴はあえて残し、成長過程でできた小さなくぼみは、ガラスをはめこむことで、自然の形を残しつつ使いやすくなり、またモダンな印象を与えてくれています。
椅子と脚はブラック色のものを合わせることで、スタイリッシュな空間となっています。
屋久杉一枚板のレジンテーブル
自然のパワーを感じる穴に、大胆にレジンを流し込み仕上げた屋久杉のレジンテーブルのコーディネートです。
天板が浮いているように見えるアクリル脚を合わせることで、屋久杉一枚板の存在感がより感じられ、極上のダイニング空間となっています。
屋久杉一枚板とステンレス脚
脚はステンレス製のもの、椅子は脚のイメージに合わせてシェルチェアを合わせたコーディネート。
屋久杉という「和」のイメージにあえて異素材の脚と椅子を合わせることにより、モダンな印象のダイニング空間となっています。
屋久杉一枚板センターテーブルとペルシャ絨毯
ユニークな形の屋久杉一枚板をセンターテーブルとして使用したコーディネート。
屋久杉の有機的な形を引き立てるモダンなイタリアソファと、ビンテージなペルシャ絨毯が上質な空間を作り上げています。
こちらもアクリル脚を使用することで、屋久杉の存在感がより引き立っています。
屋久杉一枚板のデスク
特徴的な形の輪切りの屋久杉一枚板をデスクとして使用したコーディネート。
脚にはブラック色のスチール脚を合わせることで、コンクリート打ちっぱなしのスタイリッシュな空間にもマッチしています。
周りのインテリアをモノトーンで合わせることで、屋久杉のパワーをより感じられる空間となっています。
まとめ
伐採が禁止され、ほとんど市場に出回らなくなった屋久杉。
その希少価値は年々あがり、テーブルに使用できるほどの一枚板を見られる場所も少なくなってきています。
一枚板専門店であるアトリエ木馬でも、店頭で展示できる枚数は年々減ってきています。
屋久杉の一枚板テーブルは、他の樹種と比較するとその希少性からやはり高額なものが多いですが、
お住まいの顔として迎え入れて頂くと、贅沢で上質な時間と空間を与えてくれます。
屋久杉の一枚板テーブルを検討されている方はもちろん、木が好きな方、そうでない方も、ぜひアトリエ木馬で実物をご覧頂き、大自然のパワーを体感してみてください。