一枚板の「耳」とは? 耳の残し方や耳付き一枚板の魅力を紹介!
一枚板の家具は、木の自然な表情をそのまま生かせるため、高級感やオリジナリティのある空間を演出できます。
その中でも耳付き一枚板は、木の表情をより一層引き立ててくれる魅力的な存在です。
本記事では、一枚板の耳の残し方や魅力について詳しく解説します。
「そもそも一枚板とは?」「一枚板と無垢材の違いとは?」という疑問にも答えながら、一枚板の魅力を余すことなくお伝えします。
一枚板の家具の購入を検討されている方は、ぜひご一読ください。
【基礎知識】一枚板とは
一枚板とは、大きな一本の木から無垢材を切り出し、それをつなぎ合わせることなく仕上げた一枚の板・天板のことです。
一枚板になる木の中には樹齢200〜300年ほどになるものも多くあります。
高樹齢の木からしか採取できない一枚板は、希少価値が高いのが特徴です。
一枚板で作られたテーブルや机、椅子などは高級家具として人気があります。
一枚板の魅力
一枚板の大きな魅力は、唯一無二の存在感です。
一枚板には同じものは2つと存在しません。
同じ樹種の同じ大きさの一枚板でも、木目や色味はそれぞれ異なります。
そのため一枚板で作られた家具は、世界に一つだけのオリジナル家具となります。
また、一枚板は木の成長過程でできた節や曲がりなど、自然の表情が楽しめるところも魅力です。
テーブルの天板に一枚板を用いれば、木目の美しさがそのままテーブル全体に広がり、見る人を魅了します。
お部屋の印象をぐっと引き立て、より豊かな空間を演出してくれるでしょう。
なお、一枚板は切り出し方によって木目の表情が変わります。
縮杢や玉杢といった特殊な模様である「杢目」が出ることもあり、一枚板の個性がさらに引き立ちます。
木目と杢目の違いを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
木目と杢目の違いを分かりやすく解説←
一枚板と無垢材の違い
一枚板は無垢材の一種であり、前述したように原木から切り出したままの継ぎ目のない一枚の板のことを指します。
そもそも、木で作られた家具は鉄や金属、プラスチックなどの素材と組み合わせられているものが多くあります。
椅子の場合は座面や背もたれは無垢材を使用し、脚の部分は異なる素材と組み合わせることで、デザイン性や耐久性を向上させることが可能です。
一枚板もまた、テーブルや椅子の座面、背もたれなどの一部分に使用されることが多い無垢材の一種です。
木の自然な表情を生かした、高級感やオリジナリティのある家具を作りたい場合に、適した素材といえます。
一枚板の「耳」とは
一枚板の「耳」とは、原木の表皮に近い端の部分のことです。
原木を製材する際には、まず原木の表皮を削り落とします。
この原木の表皮を削り落とした部分を「辺材」、中心部を「心材」と呼びます。
辺材は心材に比べて柔らかく、木目が不規則になっているのが特徴です。そのため一枚板テーブルの辺材が露出したところは、木目が不規則で凸凹になります。
一枚板のテーブルや椅子などの家具の端部に「耳」が残されている場合、その家具は「耳付き」と呼ばれます。
耳付きの家具は、その不規則な木目が独特の風合いを醸し出し、高級感や存在感があるため、人気を集めています。
一枚板の耳の残し方
辺材は心材よりも柔らかいので、虫食いの被害を受けやすい性質があります。
そのため耳を残して加工するには、樹皮を剥がして虫食い痕を全て除去する必要があります。
樹皮を剥ぐ作業は、手作業で行うのが一般的です。カナヅチやノミ、ナイフなどを使って丁寧に樹皮を剥がしていく作業には、熟練の技術が求められます。
また、白太を残すのも難しい作業です。白太は、木の自然な表情を出すために、意図的に残すこともあります。
しかし木の中心部である心材の周囲にあることから、虫食いの被害を受けやすく、残っていないことがほとんどです。
白太を補修・保護する作業は、木材の種類や状態によって適切な方法が異なります。
熟練した技術が必要となることは言うまでもありません。
一枚板の耳を残す作業は非常に難易度が高いため、一枚板の耳を残した家具は、希少価値の高いものになります。
一枚板以外の耳付き板の種類
一枚板以外の耳付き板には、ブックマッチと耳付き接ぎの2種類があります。
ブックマッチは、一本の原木から切り出した板を本の見開きのように左右対称に並べて接ぎ合わせたテーブルです。
耳は、スライスした木材の端の部分になります。
ブックマッチは一枚板に比べて価格が比較的安価です。
また、木目の継ぎ目が線対称で美しく、自然な雰囲気を演出できます。
耳付き接ぎは、2枚以上の木材を接ぎ合わせて作った板です。
継ぎ合わせた木材の端の部分に耳が来るようにつなぎ合わせます。
耳付き接ぎは、ブックマッチよりも強度が高く耐久性があり、
一枚板と比べると少しカジュアルな印象となります。
一枚板以外の耳付き板は、いずれも2枚以上の木材を接ぎ合わせて作られています。
そのため、自然のままの状態である一枚板と比べると、木目の継ぎ目が目立ちやすい傾向があります。
耳付き一枚板の魅力
耳付き一枚板の魅力は、木のぬくもりや風合いをダイレクトに感じられるところです。
耳付き一枚板は、木の表皮部分である「耳」を残したまま仕上げられています。
そのため、木の自然な凹凸や色合いがそのまま表現されており、普段の生活で自然の恵みや雄大さ、美しさを感じられるでしょう。
耳のおおらかなカーブからは自然のゆらぎが感じられ、見た目にも触り心地にも癒されます。
また木目や色合い、形状など、全てが自然の恵みによって生まれたものであるため、個性豊かなデザインを楽しめます。
木材は経年変化によって味わいが増すため、長く使うほど愛着も湧くでしょう。