一枚板”以外”の知られざる顔
皆様こんにちは。
アトリエ木馬吉祥寺ギャラリーです。
さて本日は、普段一枚板としてご紹介している樹種たちが、他ではどんな活躍をしているのか?
知られざる別の顔を知っていただきたくまとめてみましたので、最後までご覧いただけますと幸いです。
香りも見た目も美しい楠(クス)は実は仏像にも使われている?
吉祥寺ギャラリーのブログで、楠(クス)は御神木としても祀られていることは前回お話しましたが、御神木だけでなく古くから仏像や神像、仏壇などの彫刻材としても活躍しています。
その理由は、「彫りやすく、虫がつきにくい」から。
奈良や京都の寺院には、クスでできた仏像がたくさんあります。
広隆寺にある国宝「弥勒菩薩半跏像」は、その姿や仕草から「泣き弥勒」という名称がつけられており、この仏像も楠の木から造られていることが知られております。
虫がつきにくいといえば、昔おじいちゃんおばあちゃんの家でタンスに白い固形の防虫剤が入っていた記憶はないでしょうか?
実はあれはクスの木から作られる「樟脳」なんです。
クスの木の精油には防虫効果があり、今でも天然の防虫剤やアロマオイルとして人気があります。
その美しい橙色が織りなす芸術(ボセ)
彫刻家によって作品となった木をご存じでしょうか。
バーバラ・ヘップワースは、20世紀の彫刻界において革新的な影響を与えたアーティストです。
抽象彫刻の先駆者として、自然や人体の形を探求し、空間との関係性を重視した作品を数多く生み出しました。
そんなバーバラが作品に落とし込んだボセ。
目を惹かれるオレンジに白のコントラストがとてもよく映えた、「Two Forms with White (Greek)」という作品。
よく見るとボセの美しい杢目が表面に現れているのがわかります。
作品名にある「Greek(ギリシャ)」は、ヘップワースがギリシャ旅行から得たインスピレーションを示唆しており、ヘップワースは、風景や古代遺跡から影響を受け、自然のフォルムや空間の概念を抽象的な彫刻に取り入れました。
一枚板の中でも異彩を放つ"黒"がギターへ生まれ変わる(ウェンジ)
アトリエ木馬では以前、齋藤楽器工房様とコラボさせていただいており、その際ウェンジを使用してギターを作成いただきました。
ギターは様々なパーツから構成されており、ボディやネックなどあらゆる部位に選び抜かれた木材が使用されています。
使用する木材によって、弦を鳴らした時の音の響きや抜け感が違ってくるので、どの木材を選定するかによって、そのギターのアイデンティティが決まるといっても過言ではありません。
完成したギターはネック部分にウェンジが使用され、落ち着きを感じる黒褐色のネックが圧倒的な存在感を放ち、唯一無二のギターを作成いただきました。
お待ちかねの"大本命"
そんな様々な顔を持つ木々たちですが、大本命の一枚板をお忘れではないですよね?
ギターに姿を変えていたウェンジは現在アトリエ木馬吉祥寺ギャラリーで、デスクやダイニングテーブルとしてスポットライトを浴びております。
本来であれば心材と辺材のコントラストが特徴のウェンジですが、このデスクになったウェンジの一枚板は、辺材部分がほとんどないので黒の“深さ”がより味わえる一枚となっております。
一部耳の部分が残っているため、黒を基調としながら重くなりすぎない、どこか大人心をくすぐるような、とても良いバランスのデスクです。(もちろんデスク以外としてもご使用いただけます)