更新日:2024.04.22
ウェンジの特徴や木材の魅力を紹介! モダンな一枚板テーブルにお勧め
家具や住宅建材などに使用される木材にはいろいろな種類があります。
天然の木そのままの無垢材は家づくりでは定番の人気で、その中の一つがウェンジです。
本記事では、ウェンジという木の特徴や、どのような用途で使用されているかを詳しく解説します。
これからマイホームを建てる予定があって無垢材を取り入れたいと思っている方やウェンジについて深く知りたい方はぜひご覧ください。
ウェンジとは?
ウェンジとはマメ科ミレシア属の木材で、タガヤサン(鉄刀木)の代用木として知られています。
標高18m、胸高直径60㎝はどの大きさに成長する木で、周辺は白色で心材は黒紫褐色。
タガヤサンとはまた違う独特のモダンな魅力を持ち合わせています。
ウェンジという名前はこれまであまり認知されていませんでした。
その大きな理由のひとつに、漆黒に近い濃褐色になるウェンジの表面を脱色処理することが多く、ウェンジの色合いをタガヤサンに似せて流通させてきたためとされています。
本当はウェンジであるのにタガヤサンと認識されてしまっていたのです。
しかし最近ではタガヤサンの代用品ではなく、独特なモダンな存在感を持つ漆黒の木としても使用される機会が増えています。
特にヨーロッパのデザイナーたちがその魅力に注目し家具に用いたことで人気が高まり、他にも内装材、建具、楽器、チェスなどと幅広く使用されるようになりました。
ウェンジは美しい色合い以外にも、重くて硬い木材で耐久性に優れている、安定性が高い、衝撃や曲げに強いなどのさまざまな特徴を持っています。
そのため需要はどんどん高まりつつありますが、近年では過剰な伐採が行われていて絶滅が危惧されています。
ウェンジの原産地
マメ科・ミレシア属であるウェンジの原産地はアフリカの中央部で、ザイールやカメルーン、ガボンなどに生育しています。
同じミレシア属にアジアで生息しているムラサキタガヤサンと呼ばれるものがありますが、別の種類の木材です。
ウェンジは黒褐色から黒色の色合いをしており、ムラサキタガヤサンは濃い紫色に近い色合いをしていて見た目も異なります。
アフリカ原産の木材には他にもいろいろありますが、特徴として高値が付きにくいことが挙げられます。
前述のように、ウェンジは高級木材のタガヤサンの代用材と使用され、当初は他のアフリカ原産の木材同様に安価で取引されていましたが、今ではその美しい見た目や品質が認められて高値で取引され、特にコンゴ民主共和国(旧ザイール)産のものが高級品とされています。
ウェンジの特徴
中央アフリカ原産のウェンジは、タガヤサンの代用木として用いられてきた歴史があり、当初はムラサキタガヤサンと呼ばれていたほどの独特な色合いが大きな特徴です。
認知度が上がるにつれ価値も高まり、現在では高級木材として高値で取引されています。
以下に、ウェンジの色合いや価格以外の主な特徴を紹介します。
安定性が高い
ウェンジは安定性が高い木材として知られています。
重硬で強度が高いことなどから伐採後に全体を乾燥させるにはかなりの時間を要し、乾燥過程で割れが起こる可能性があることから他の木材よりも慎重に扱わなくてはいけません。
ただし、乾燥が終わった後は収縮が少なく、安定性が高い良質の木材となります。
乾燥後に狂いが生じにくい安定した木材は、家具や建具材に適しています。
衝撃や曲げに強い
ウェンジは強度の高い木材であり、衝撃や曲げに強いことも大きな特徴です。
見た目で裂けやすそうな印象を持たれることが多いですが、実際にはそのようなことはなく加工もしやすくなっています。
ただし、釘打ちやネジ止めなどをするときには下穴を開けないと割れる可能性があるため注意が必要です。
比重が0.8〜1.0とかなり重くて堅い木材の部類に入ります。
衝撃や曲げにも強く耐摩耗性も高いことから、天板や床材には最適です。
耐久性がある
ウェンジは、腐って傷んだり害虫による影響を受けたりしにくい、耐久性にとても優れた木材です。
長く使用することを想定された家具や建材なども用いられていることが、ウェンジの耐久性の高さを証明しています。
耐久性が高く劣化も起きにくいため、日常生活の環境下でも気にせず用いることができます。
一般的に無垢材を家の中で用いて美しさを保つためにはメンテナンスに手間がかかりますが、ウェンジには過度なお手入れが必要ないのがメリットです。
水に濡れると色移りする
ウェンジには、水に濡れると色移りするという特徴があります。
そのため、キッチンなどの水回りで使用する場合は注意しなくてはいけません。
水に濡れると樹脂の成分が染み出し、触れたものに色がついてしまうことから、ウレタン塗装をするなどの工夫が必要です。
良質な家具を製造しているメーカーなどでも、ウェンジ製品には水に濡れても良いような特別の加工を施し、問題が起きないような工夫をしています。
ウェンジの主な使用用途
近年どんどん需要が高まっていて魅力たっぷりの高級木材であるウェンジは、家の中やそれ以外のいろいろなところで使用されています。
以下に、ウェンジの主な使用用途を紹介します。
一枚板のテーブル
ウェンジは、独特でモダンな漆黒の木としていろいろな家具類に使用されており、ダイニングテーブルやカウンターテーブルなどで一枚板として使うとより個性が引き立ちます。
原産地のコンゴ民主共和国がフランス領であったことから古くからフランスにも多く輸入されていて、ヨーロッパのデザイナーが家具に使用したことからウェンジの人気が高まった経緯があります。
ウェンジの辺材は白色、心材は淡い黄褐色の地色にリップルマークと呼ばれる黒褐色の縞模様があるのが特徴です。
板面に現れるさざ波のようなリップルマークはとても美しい繊細な模様で、シックな木調を好む家具ファンたちから絶大な人気を誇っています。
フローリング
ウェンジは、住宅建材などにも数多く用いられていますが、耐摩耗性の高さを活かしてフローリング材としても重宝されています。
ウェンジの木目はとてもはっきりしていて、黒褐色の色合いに淡色の細かい縞が規則的に入り、床に敷き詰めることでそれが高級感を醸し出してくれます。
ウェンジには油分が多いことから、床を磨く度に自然で美しい艶が出てきて良い味を引きだすことになるのです。
フローリング材にウェンジを選択すれば、経年劣化しても無垢材の高級家具と同じような渋みを味わうことができます。
ギターやベースのネック
↑写真:弊社のウェンジ材を提供させて頂いた、齋藤楽器工房様のギター
ウェンジは、ギターやベースのネックとしての使用頻度が高くなっています。
見た目や音の響きが良いことなどから、ボディ材に使われることも。
高い強度と曲がりにくい性質は、音程を調整する細長いネック部分に適しています。
硬い木材であるため、音質は非常に明瞭になるのが特徴です。
ボディ材として使用すれば、黒味を帯びたシックな外見となって全体に高級感を漂わせることができ、ウェンジ材を使ったギターは高級ギターとして取り扱われています。
まとめ
ウェンジは、中央アフリカ原産のマメ科ミレシア属の木材で、タガヤサンの代用木としてその歴史がスタートしました。
その後は美しい色調や耐久性の高さなどが認められ、代用材としてではなく単体としての知名度も高くなり、現在では高級木材として家具、建材、楽器など幅広い用途に使用されています。
しかし、ウェンジの人気が高まったことから近年では過剰な伐採が進んでいて、すでに絶滅危惧種となっています。
このままでは大切な資源を失ってしまうことにもなりかねないため、たとえ流通量が減ったとしても今後はそうならないため計画的に伐採を行う必要があるのです。