「怖い話」から「木の力」「木の美しさ」を知る。
日本の夏。
やっと暑い夏の終わりが見えてきたように思うこの頃…
今更ですが、夏といえば皆様は何を思い浮かべますか?
「怖い話」「怪談」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
そもそも何故、日本の夏といえば怖い話なのか。
どうやら昔、歌舞伎で夏に恐ろしい幽霊がでるお芝居(四谷怪談など)を始めたことや、昔から夏は死者の魂が帰ってくる季節だから、など、様々なことが重なり合って、そういったイメージになっているようです。
ちなみにアメリカではハロウィンがそれに当たります。
さて、今回は「木」が関係するちょっと怖い話をご紹介させていただこうかなと思います。
木にまつわる怖い話
「木」が関係する怖い話といっても様々あります。
その木に触れるだけで良くないことが起こったり、その木の付近に霊が出るといわれていたり。
その中でも今回は「祟り木」。
つまりはその木自体に触れたり、何かしようとすると、良くないことが起きるというものです。
「祟り木」の類の中でも最も有名な木のお話をしていきます。
初鹿野諏訪神社のホウの木
ご紹介するのは、この類のことを調べると必ずと言っていいほど見かける、「初鹿野諏訪神社のホウの木」です。
初鹿野諏訪神社は決して大きな神社ではないのですが、建造物の彫刻が非常に美しいことでも有名です。
このホウの木は初鹿野諏訪神社のご神木となっています。
日本武尊の杖から育ったとされ、歴史も古いのですが、この木は触れるとその人の身によくないことが起こると言われています。
ホウの木の祟り
1953年、このホウの木の枝払い(木の枝を落とす作業)が行われた後、この作業に関わった方が連続して命を落とす事件が起こりました。
この事件が理由でこのホウの木は恐れられるようになりました。
1968年にはこの木の撤去計画が持ち上がると、近くの中学校の生徒達がバスの事故で命を落とす事故が起こりました。
また、ある集落では、柏の葉の代わりに、このホウの木の葉で柏餅を作り食べたところ、食べた方々が急病で亡くなり、集落も大水害で壊滅した、という話もあります。
現在では、このホウの木の周りは金属の柵で覆われ、中に入れないようになっています。
また、すぐ隣を通る線路もこのホウの木を避けるようにカーブしており、ホウの木の枝に架線が触れないようなつくりになっているという、何とも恐ろしい木なのです…。
木の「力」と「美しさ」
いかがでしたか?
なかなかゾクッとしませんでしたか?
しかしながら、私が今回、この記事で皆様にお伝えしたいのは、
「木は恐ろしいよ~」なんてことではなく、
「木の力」の「強さ」と、やはり木は「美しい」ということなのです。
古くから、日本人が「木」には「神が宿る」としてきた理由。
もちろん昔の人々が考えていたことは、正確にわかることは少ないですが、きっと、今の私達と同じように、木のもつ何か得体の知れない、なんとなく感じる「力」「美しさ」に魅了され、それは神の仕業なのではと考え、「木」に神が宿っているとしたのではないでしょうか。
その考え方が派生し、「良くない力」と「良い力」を持つ木があると考えられるようになり、今回のホウの木のような木が生まれてきたのではないでしょうか。
人に良い影響を与えてくれる木
この現代になっても、今回のホウの木のように、強い力があると信じられ続けている木はたくさんあります。
このホウの木とは逆に、人に良い影響を与えてくれるとされている木も、もちろん存在します。
例えば、温泉でも有名な静岡県の熱海市にある、来宮神社には樹齢2100年以上といわれる、非常に大きなクスの木があります。
このクスはパワースポットとしてとても有名で、幹の周りを1周回ると、寿命が1年伸びるといわれています。
そもそもクスの木が特にご神木とされることが多い樹種で、昔から日本人とともに、歴史を歩んできた木なのです。
日本の巨木を調べるとクスの巨木が数か所出てくるので、ご自宅の一枚板にクスをお選びになるお客様は、ご旅行ついでにクスの巨木を見に訪れてみる、なんていうことも一枚板の楽しみ方のひとつです。