一枚板は高齢樹から生まれる希少な木材! 一枚板の希少性や価値を解説
一枚板は無垢材の一種で、樹木の形状を維持したままインテリアとなる特徴を持った木材です。
樹齢百年以上が経過した高齢樹からしか切り出すことができず、高い希少価値を有します。
この記事では一枚板の希少性が高い理由や、インテリアに採用する魅力を掘り下げて解説します。
ナチュラルな家具や自然素材にこだわりがある方や、オリジナル性が高いお洒落な部屋を作りたい方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
一枚板とは
一枚板とは百年から数千年かけて育った高齢樹を縦に切り出した、一枚の大きな木板です。
一般的に木材として使われるのは単板(ベニヤ)を何枚も重ねて接着した合板を指します。一方で、一枚板は切り出した自然な状態のままで使用するのが特徴です。
加工せずとも十分な高さ・幅・厚みを備え、そのまま家具の材料やカウンターテーブルの天板などに使えます。
一枚板の魅力は継ぎ目がなく、自然由来の独特で綺麗な模様を存分に堪能できる点です。
複数の木材を接着剤で接合した合板の場合、木材と木材間の継ぎ目が断面に現れるのは避けられません。
自然を切り取ったかのようなナチュラルなデザインは、一枚板を使用する大きな利点です。
自然志向のインテリアでは、一枚板に限らず無垢材の使用を好んで使用する方もいます。
自然木が醸し出す温もりや癒しは、長い時間を過ごす住宅の家材として相性が良く、魅力的な選択肢の一つです。
一枚板の大きなインテリアは確固たる存在感があり、住まいの顔となる大きなポテンシャルを秘めています。
一枚板は高齢樹からしか生まれない理由
一枚板が高齢樹からしか生成できない理由は、家具として使える程の幅や厚み、高さを出すには時間が必要だからです。
樹木は急激な速度で成長するのではなく、長い歳月の中で徐々に大きくなっていきます。
一枚板の家具に使われるのは、針葉樹と比べて成長が遅い広葉樹です。
100年や200年を超える高齢樹でなければ、ダイニングテーブルの天板ほどの奥行きや厚みをもつ木材は生まれません。
つまり家具に使われる一枚板の元になった樹木は、私たちが生まれるずっと前から存在していたものであるということです。
2024年現在から100年前というと、年号が大正から昭和に代わり、第一次世界大戦や世界恐慌などの歴史的な事件が起きた激動の時代の最中です。
激しい世の動きにものともせず成長を続けてきた高齢樹に思いを馳せると、一枚板がより貴重に感じられるのではないでしょうか。
一枚板が希少であるその他の理由
一枚板が希少な理由は単に生育に時間がかかる高齢樹からしか取れない、ということだけではありません。
一本の木から採取できる量が少なく、自然の美しさを味わうには加工に携わる職人の技術が必要です。
魅力的な一枚板を生成するまでに要する時間や労力に理解を深め、その価値を実感してみましょう。
一本の木から採取できる量が少ない
一枚板を切り出す際は一部の例外を除き、樹木を縦方向にスライスして生成します。
横方向に輪切りしない理由は中心部分が割れやすく、一本の木で最も直径が大きい箇所では木材を生成できないためです。
大きさが必要にもかかわらず、最もサイズがある部位を避けて切り出さざるを得ず、結果的に大量生産は難しくなります。
十分気を付けていても製材の過程で空洞が見つかり、一枚板として使用できない、というケースもあります。
必然的に一枚板の採取量は少なくなるため、一枚板から生成される家具や木材の希少価値は高まるのです。
一枚板の美しさを引き出すには職人の技術が必要
一枚板の美しさを引き出すには、切り出した状態のまま製品化するのではなく、職人の手による加工が必要です。
数多の原木の中から良質なものを見極めるためには、技術や知識を持った熟練の人材による目利きが伴います。
一枚板を生成する樹木は大木のため、伐採や輸送に特別な重機を用意する必要があり、調達コストがかかります。
海外市場から輸入材を持ち込む場合、なおさらです。
運び出された原木は製材の過程を経て、一本ずつ天日干しで自然乾燥させ、日本の気候になじませるために時間をかけて水分を抜き取ります。
製品化に耐えうる状態にまで乾燥させる際には、一般的に少なくとも一年以上の期間が必要です。
アトリエ木馬では、この乾燥の工程に少なくても2年、長いものになると10年という歳月をかけています。
水分の含有量を特定の範囲内で収まるよう、調整しなくてはいけません。
このように美しい一枚板を生成するには複数の前工程を乗り越えねばならず、長年の経験を有する職人の技量が求められます。
高齢樹から作られる一枚板の魅力
高齢樹が作り出す一枚板を家具に使用すると、他の木材では味わえない魅力を感じられます。
日本家屋のさまざまな種類にマッチするため、独特で稀有な質感を楽しめるお洒落な部屋を簡単に作れるのは、大きなメリットです。
その他の点も合わせて、高齢樹の一枚板が提供する魅力を掘り下げます。
天然木の持つ生命力や独特の質感を感じられる
百年を超える歳月を乗り越えてきた天然木の圧倒的な生命力や自然由来の独特な質感は、一枚板の希少性を高めます。
唯一無二の温もりは、包み込まれるような安心感を与えてくれるでしょう。
使い込むほど味わい深さは増し、一生使い続けたいと思うほど愛着を感じる方もいるのではないでしょうか。
通常の家具では高さや幅を測定し、寸分の狂いもないサイズに調整しますが、自然な状態を醸し出すことを良しと考える一枚板では、あえて切り出した状態のまま加工します。
百年以上の歳月でさまざまな悪天候に耐え抜いてきた自然木は、木目に独特の痕跡が残ることも珍しくありません。
節目や木の曲がり具合までそのままのフォルムで作られたダイニングテーブルは大きな存在感があり、生命力や独特の質感に驚かされるでしょう。
インテリアとして日本の家屋になじむ
一枚板特有の質感と自然由来のフォルムは、自然木を好んで使用する日本家屋と相性が良いのが特徴です。
一枚板の家具はナチュラルテイストの部屋になじむのはもちろん、モダンでシャープな雰囲気にも溶け込みます。
特に天板の存在感が際立つダイニングテーブルは、一つ置くだけで室内の印象を一変させる代物です。
ナチュラルな部屋に設置すれば、自然な印象がより強くなります。
また洗練された現代的なテイストの一室にも、インテリア性の高い一枚板の家具はよく調和します。
さらに畳と襖(ふすま)で形成された和室にも自然と溶け込み、一枚板の座卓を設置すれば、独特の高級感を演出できるでしょう。
長い期間使用することで経年変化を味わえる
一枚板は使い込む程艶や色みが出てきて、魅力が増す家具です。
年月が経過するほど美しくなる様は不思議で、傷や汚れすらも味わいと感じられ、愛着が増す要素の一つとなります。
一口に樹木と言っても、木の硬さや木目の主張の激しさ、風合いの変化は種類によってさまざまです。
タモやメープル、トチに代表される明るめの色合いが特徴の木は、時間の経過で温もりのある黄色っぽい色みに変化します。
チェリーやパドック、アサメラなど元々の色みが濃い種類の場合、経年変化でさらに濃くなり、深みを感じさせるように変化します。
世界三大銘木としても知られるウォールナットは、独特の風合いを感じさせる樹木です。
元々は濃い茶色ですが、時間が経過するにつれ、淡くグレーを帯びた明るめの茶色に変わっていきます。
色味の変わり方は木の種類によって異なるとはいえ、経年変化を味わえるのは無垢材の大きな魅力です。
日々変化を魅せる一枚板の様子を観察して共に時を刻み続ければ、日々の暮らしがより彩りを増すでしょう。