枚方田中邸のむくの木
先日、一枚板をご購入いただいたお客様のご納品がありました。
お住まいがたまたま私の実家の近くで、しばらくぶりに訪れた地元はなかなかの変貌を遂げていました。
「そういえば近くに巨木が生えていたな…」と思い出し、すこし寄ってみることにしました。
枚方市駅から南西に歩き、Y字路を左へ。
Y字路は、私の好きな画家・デザイナーの横尾忠則氏が晩年のライフワークとして描き続けている題材でもあります。
分岐ってなんかいいですよね。
左の道を真っすぐ進み、坂道をのぼっていくと目的の木が右手に見えてきます。
さらに坂道をのぼり、階段を進むと到着です。
駅から徒歩で10分ぐらいで着きます。
この木は「大阪府指定天然記念物 枚方田中邸のむく」と呼ぶようです。
先ほどから当たり前のように「枚方」と書いていますが、この街は「ひらかた」とお読みください。
田中家は代々の鋳物師だったようで、庭の椋の木の葉をヤスリとして使用していたとのこと。
鋳物師のあるところ椋の木ありと言われるほど、一般的な関係でした。
古くから、人と木が密接に暮らしに関わり合っていたことがうかがい知れます。
ちなみに、現代の紙やすりにはガーネットを使用している場合が多いそうです。
アトリエ木馬に椋の木の一枚板の在庫は残念ながらありません。
しかし、同じ楡科の欅や楡はお取り扱いしています。
特に、楡は椋とよく似ているようなので、どんな木肌なのか気になった方はお問合せください。
余談ですが、学生時代に、上述した横尾忠則氏の講演会にいったことがあります。
そのさい、たまたま廊下ですれちがったので握手を求めたところ「あとにしなさい」と言われました。
あれから20余年経ちますが、「あと」はいまだに訪れておりません。